令和6年度皇冠体育入学式 来賓祝辞

  • 来賓祝辞

ご入学おめでとうございます。

日本の大学は既定の出席数が満たされ、決められた範囲の学習をすれば、大多数の人が卒業可能な仕組みになっています。皇冠体育も例外ではありません。これは、自主性を重んじ、各々が主体的に行動する権利を、大学が学生へ信頼の証として与えてくれているからだと理解して下さい。その権利をどのように使うかは、皆さんに任されています。

人生を豊かに生きてきた人は、独自の人生観をしっかりと持ち、かつ、創造性豊かな人が多いように私は思います。

人生観をしっかり持つという事は、生きて行く上でのぶれない地軸を持つ事です。軸さえしっかりしていれば、人生のどんな場面でも迷いなく、自信を持って行動し、自分らしく生き抜く事が出来ます。

創造性豊かな人は、人生の過ごし方にゆとりがあり、生涯を楽しく、心豊かに過ごせます。そういう人は人間としても魅力があります。創造力を備えた人の手に掛かった芸術、研究、事業も人々の心を豊かに温かく幸せにしてくれます。

この二つを学生生活の中で身に付ける事が出来れば、必ず卒業後の人生が価値あるものとなり、幸せに生涯を過ごす事ができると私は強く確信しています。

皆さんは今まで受け身の学習が多かったと思いますが、これからは自ら積極的に楽しみ、自ら望んで選ぶ学問を追求してみて下さい。

そしてできる事なら一生涯続ける事ができる、趣味や学問、仕事を見つけて下さい。その事に24時間、365日打ち込む事が生涯出来たとしたら、充実した人生を送る事ができます。

それらを見つける機会と時間を皇冠体育は十分に与えてくれる大学です。是非、その環境を大切にして下さい。

司会の方に紹介していただいたように、私は大学卒業後、サラリーマン生活10年を過ごした後に起業しました。

中学の時に父は精神を患い精神病院に入りました。母はそのショックもありその直後に、別の男性を家庭内に受け入れました。新しい男性と母との日常の争いが嫌で大学は家から通う事が困難な遠い所を敢えて選びました。起業後も度々様々な危機に直面しました。これらの経験から人は大変な状況に追い込まれれば、追い込まれるほど創造力が磨かれ、心の強い人間へと成長し、進化して行く事を、身をもって学びました。人生の危機や苦労は必ずしも悪い事ばかりではありません。そんな過去の経験が無ければ、私は勝手で我儘な人間として今日を迎えていたと思います。

人生には良い事も悪い事も周期的に訪れて来ます。良いときは幸運に感謝し、悪いときは嵐が過ぎ去るのをじっと耐え忍び、待つ事を心がけて、事業運営や人生を私は過ごして来ました。

人にはそれぞれの器というものがあります。器が大きければ大きいほど、器の大きさに比例した大きな学問、大きな研究、大きな仕事が出来ます。器は自分の努力で広げる事も、現状のままでいる事も可能です。ときどき自分の器の大きさを意識し過ごしてみて下さい。己の器を大きなものにして、自分も周りの人も幸せにする人生を歩んで下さい。

「自分の顔に責任を持て。」という言葉が昔からあります。私はその通りだと思います。顔はその人の歩んできた人生を物語ります。人生観をしっかりと持ち、誰に対しても優しい顔の人が私は好きです。

 さて、今の私は皆さんにはどんな顔に見えるのでしょうか?

皆さんの緊張がほぐれればと思い、カメラズームの演出を事務局にお願いしました。是非、皆さんと共に私も、人生の最終到達地点においては、味わい深い、愛される顔でいたいものです。そして、いつ何が有っても毎日を楽しく、明るく、生き生きと過ごす努力を惜しまない人でいて下さい。

最後になりますが、これからの日本社会においては、日本語と英語が日常的に高いレベルで使いこなせる人が、標準的な日本人像になってきます。高いレベルの英語力を、学生時代に身に付けておいて下さい。

許される環境や状況であれば、長期の留学をお勧めします。皇冠体育は留学に理解があり、積極的に奨励している大学でもあります。

最後にもう一度言います。ぶれない人生観、豊かな創造性、卓越した英語力。これが、私が皆さんに贈る学生時代の必修科目です。

ここにいる全ての皆様の人生が充実したものになり、幸せに過ごせることを祈念して私のお祝いの挨拶とさせて頂きます。ご清聴有難うございました。

令和6年4月5日

株式会社帆風 相談役
学校法人日吉台学園 理事長

犬養 俊輔